行列のできるラーメン屋のダシは豚でもな鶏でも魚でもなく…… | NEW NO-PUBLIC

行列のできるラーメン屋のダシは豚でもな鶏でも魚でもなく……


 今から15年ほど前、Y県のふぐで有名なS市に、行列ができる人気のラーメン屋があった。

 そのラーメン屋の名前は「にゃんにゃん」。昔なつかしのアダルト雑誌を思い出してしまいそうなネーミングだが、この名前の由来は、ラーメン屋の主人が人一倍猫好きな所から由来する。

 店内に、猫を10匹ほど放し飼いするという、今では間違いなく保健所から指導を受けるような営業をしていたようだが、当時はラーメンもおいしく、可愛い猫にも触れるという事で、ラーメン好き、猫好きには好評を博していたとの事だった。他県から噂を聞きつけ駆けつける人がいたほどの人気店だったようである。

 この「にゃんにゃん」、ラーメンの味はとてもさっぱりしていて、女性にも人気があった。ダシは鶏がらを使っていると主人はお客には言っていたそうだ。

 そんなにゃんにゃんに、ある日こんな噂が客の間で流れ始めた。

 「にゃんにゃんはダシに猫を使っている」

 どうやら、店内にいる猫がほぼ毎日入れ替わっているのに、気付いたお客がダシに猫を使っているから、昨日までいた猫がいなくなったりしているのではないかと、疑いを立てたらしい。

 実際に、「にゃんにゃん」の店内にいた猫は、激しく増減していたらしく、前日には、10匹いたかと思えば、次の日は5匹に減っていて、また次の日には、新たな猫が増えて、10匹になっていたりしたらしい。

 店主も、猫がいなくなる理由について、中には野良猫もいるから、自由気ままに何匹も出入りをしているんだと、抗弁していた。だが、主人が野良猫に餌をあげて、店の中に招き入れている姿を目撃した人もいた。疑惑は高まるばかりだった。

 しかし、なんだかんだ言って「にゃんにゃん」のラーメンの味は地元では、あいかわずの人気で客足が途絶える事はなかったのである。

 そんな最中、「にゃんにゃん」の近所の住人が、警察に通報をした。内容は、「にゃんにゃんの主人が猫と思われる骨を大量にゴミ袋に入れて、ゴミ箱に捨てていた」というものだった。

 通報をうけた地元の警察が、住民が発見した「にゃんにゃん」の出したゴミ袋を調べてみると、ダシを取る為に使われたと思われる、細かく砕かれた骨と一緒に拳大の大きさの猫らしき動物の大量の頭蓋骨が確認できた。

 このゴミ袋を証拠に警察が店主を問いただすと、店主はあっさりと猫をラーメンのダシに使っていたと認め、逮捕。その日から「にゃんにゃん」は営業停止となったのであった。

 翌日には、地元では大騒ぎとなり、地元の新聞にも、この事件が「人気ラーメン店、野良猫をダシに利用しようしていた」と掲載され、一層大騒ぎとなったようだ。

 猫好きの主人は、猫を愛玩していたのではなく、実は食材として好んでいた。そして、その主人の作った猫がダシのラーメンを知らずに「うまいうまい」と絶賛して食べていたと知ったら、それは騒がずにはいられないだろう。

 猫を知らずに食べされられた方はたまったものではなかっただろう。だが、実際に猫を食材として食べる国はある。中国などでは毛皮を剥がれて吊る下げられた猫が普通に市場に並んでいる。日本でも、沖縄や東北の方では、猫を食べる習慣があり、いまだ老人には猫を捕まえて食べる人もいるという。

 そういった事実もあるが、噂話として猫をダシ使っているラーメン屋という話は、よく都市伝説的な噂として表に出てくる。この「にゃんにゃん」の事件が実際にあり、この話が元となって派生したものなのか、単に「にゃんにゃん」という名前のラーメン屋が閉店した事を、誰かが勝手に「猫をダシに使っていたのがばれたんだ」と邪推して流した噂なのかはわからない。猫を食材に使用していて、いきなり逮捕というのも、15年ほど前ではありえない話のような気もする。

 色々と憶測はあるが、この「にゃんにゃん」というラーメン屋がY県S市に実在していたのは確かなようだ。

「にゃんにゃん」のラーメンが大好物だったY県出身の古川さんは、「あのラーメンの味はいまだに覚えている。本当にうまかったんだよ」と語る。

 実際に「にゃんにゃん」はダシに猫を使っていたのか、知るのは当時店内にいた猫ばかりである。

 似たような話で、大阪のジャンジャン横丁の串カツ屋のメニューの「肉」とだけ書かれて、何の肉を使っているいるかわからないメニューがある。この「肉」は野良猫が使われているというのだ。何故なら。ジャンジャン横丁には野良猫がいないからだそうだ。串カツ屋の店主が一匹残らず捕まえているからという事らしい。この真相についても是非知りたいものだ。